【未来ストーリー】想いを形に

こんにちは。
harucan designの増子ゆいです。

未来ストーリー™作家の蒼樹唯恭さんに
私の思いをのせた、ひとつのお話を書いていただきました。

小説仕立てのため、少し長めですがお楽しみください♡

目次

第1幕:パン教室こねこねこ

1:パン教室こねこねこ

深夜2時50分。福元佳菜枝(ふくもとかなえ)は自分のベッドで目が覚めた。
こんな風に夜中に起きるのは、今週でもう2度目だ。

もう一度寝ようと寝返りを打つ。
しばらくしても眠気が来る気配がないため、とうとう佳菜枝は観念して階下にあるリビングへ降りて行った。

リビングダイニングは日中、パン教室の生徒で賑わっているが、今は佳菜枝しかいない。
冷蔵庫の機械音が妙に大きく聞こえる。

佳菜枝は手近にあったソファに座り、ぼんやり闇を見つめた。

静岡県静岡市。
閑静な住宅街の一角に、佳菜枝が主宰するパン教室はある。
家の門柱に取り付けられた小さな看板には、パンを頭にのせた猫が描かれていた。
猫の絵の下には「パン教室こねこねこ」の文字。

教室の名前は佳菜枝が考えたもので、パンを「こね」るに、息子たちが大好きな絵本の主人公である「ネコ」を掛け合わせた。
猫の絵は子どもからの人気が高く、佳菜枝自身も気に入っている。

佳菜枝がパン教室こねこねこを始めたのは5年前。
当時は大手のクッキング教室でパン講師をしていた。

講師業は楽しかったが、2人目の出産を機に昔からの夢だった自分の教室を開いた。
ライフスタイルの変化に合わせた働き方をしたい、という思いも独立を後押しした。

最初は友人や知り合いしかいなかったレッスンも、口コミでじわじわ人気が広がり、今では毎回ほぼ満席だ。
パンをこねるときに感じる癒しをママたちに伝えたい、という佳菜枝の願いを反映してか、
教室はいつも子連れのママ達で賑わっていた。
生徒の中にはリピーターも多く、パン教室こねこねこは彼女たちの交流の場にもなっている。

2:佳菜枝の悩み

傍目からは順調そうに見えるが、佳菜枝には大きな悩みがあった。
それは、最近始めた教室運営のセミナー準備に端を発している。

教室運営に関しては、最初、アシスタントの理沙だけに教えるつもりだった。
しかし、ちょうどその頃、同じように教室運営について教えて欲しいと言われる事が重なった。
それならば、とセミナー形式で多くの人に教えようと決めたのだ。

意気揚々と始めたプロジェクトだったが、佳菜枝が考えていたほど事は上手く進まなかった。
セミナーのスライド資料を準備し、ブログで告知・集客をする。
言葉にすると簡単だが、実際にするのは時間がかかる上、本業のパンレッスンもこなさねばならない。

特に、ブログは佳菜枝の頭を悩ませた。
パン教室と教室運営の情報を両方載せたために、それぞれの案内が見にくくなってしまったのだ。
先月に比べパンレッスンへの新規お申込みも減り、佳菜枝は焦りを感じ始めていた。

第2幕:佳菜枝の葛藤と小さな勇気

1:パンレッスンでの失敗

「先生、大丈夫ですか?」
昔から通ってくれている生徒の一人が、心配そうに佳菜枝の顔を覗き込んだ。
「…え?」
「ちょっと、お疲れのようだから」
「あ、すみません。最近、寝不足で」
佳菜枝は生地をこねながら無理に笑顔を作った。
ここ数日、睡眠時間を削ってセミナーの準備をしているため、眠気が襲ってきたのだ。

そのとき、理沙が佳菜枝に駆け寄って来た。
「佳菜枝さん、具材をまだ入れてません!」
「あ!」
「具材はパントリーですか?私、持って来ます」
そう言うと、理沙は急いでキッチンの奥へ向かった。

レッスン後、佳菜枝は重い気分で理沙と片付けをしていた。
佳菜枝はパン教室を開いてから今日まで、レッスンで大きなミスをした事がない。
そんな自分が今回、あんな初歩的なミスをするなんて。信じられない気持ちだった。
同時に、もし理沙が気付かなかったら、と思うとゾッとする。
もしあのまま進めていたら、レッスンに参加していた生徒はガッカリしただろう。
彼女たちの笑顔が見たいと思って続けている仕事なのに。

「佳菜枝さん、最近、働き過ぎじゃないですか?」
「…うん」
理沙の言う通り、疲れが溜まっているように感じる。
イライラする事も増えた。昨晩は些細な事で子どもに当たってしまい、自己嫌悪に陥ったばかりだ。
「私に何かお手伝いできる事ありますか?」
心配そうな表情の理沙を見て、佳菜枝は少し迷ったが、今の悩みを打ち明けた。

2:理沙の夢

「…佳菜枝さんは、自分で全部やり過ぎなんだと思います」
話を聞き終わった理沙が遠慮がちに口を開いた。

「私はアイシングクッキーの教室を始めて日が浅いので、今はやる事が沢山あります。
でも、自分で全部やると大変だって気付いたから、少しずつ他の人にお願いし始めました」
そう言って、理沙はポケットからスマホを取り出した。
「例えば、このブログのヘッダー画像は知り合いのWebデザイナーさんに作ってもらいました」
理沙が指したスマホ画面には、淡いピンクをベースに、クッキーのイラストが散りばめられた画像が映っていた。
一列に並んだメニューボタンの上には、ゴールドで縁取られた教室の名前がきらめいている。
「かわいい!理沙ちゃんらしいね」
「ありがとうございます。イメージ作りのために、思い切って頼んでみました!」

佳菜枝もブログは持っているが、ヘッダーはテンプレートを使って自分で作ったものだ。
気に入っていないわけではないが、やはりプロのデザインには敵わないと感じる。
「もちろんお金はかかりますけど、プロの方に頼めば自分で作るより仕上がりも良いし、本業に時間も使えるので頼んで良かったです。ブログが見にくいなら、一度相談してみたらどうでしょうか?」
理沙は自分が依頼したデザイナーの名刺と、その他に数枚を佳菜枝に見せた。

「実は私、ホームページ制作も依頼してるんです」
「え?ホームページって、もう?!」

佳菜枝の周りでも、ホームページを持っている教室はいくつかあった。
しかし、そのほとんどが長年続いている教室ばかりだ。佳菜枝自身はホームページを持っていない。

「はい。今はまだ夢ですけど、将来的に教室を全国展開したいんです。ホームページがあった方が、お客様からの信頼を得やすいし、集客にもつながるかなと思って」
目を輝かせて夢を話す理沙の姿に、佳菜枝は驚いた。
佳菜枝が教室を始めたばかりの頃は、目の前の事に精一杯で、将来について理沙ほど明確なビジョンがなかったからだ。

ホームページの魅力は情報を整理しやすく、世界観も伝えやすいところだ、ってWebデザイナーさんが言ってました。
それに、資産にもなると」
「資産…確かに、ブログは賃貸でホームページは持ち家だって聞いた事あるかも」
「そうなんです!ブログに書いた文章や画像は自分のものでも、外枠は借りているもの。もしブログが閉鎖したら、今まで築いてきた方との関係も、これから出会う方との接点も失われます」
「…(理沙ちゃんプレゼンしてるみたい)」
理沙はしばらくホームページの重要性と自分の将来について語った後、自分のレッスンのため帰って行った。

3:小さな勇気

「ホームページか…」
1人になった佳菜枝は、理沙にもらった数枚の名刺を手に取り、呟いた。
過去、何度かホームページを持ちたいと思った事はある。
しかし結局、行動に移すまでには至らなかった。自分にはまだ早いと先送りしてきたのだ。
「ちょっと見てみようかな」
佳菜枝は気に入った名刺をいつくか抜き取り、印字されているQRコードを読み取った。
スマホ画面に次々と、SNSアカウントやサイトが映し出される。
そのうちの一つを見て、佳菜枝の指が止まった。

画面に表示された制作例は、どれもシンプルなデザインだがどこか温かみを感じられる。
佳菜枝は直感的に「いいな」と感じ、プロフィール画面を見た。
Webデザイナーの名前は「YUI」。佳菜枝と同じ静岡に住むママだ。
一気に親近感がわき、アカウントのフォローボタンを押した。

数日後、佳菜枝は思い切ってYUIに連絡した。
悩んでいても始まらないと腹を決め、オンラインの無料相談会を受ける事にしたのだ。

相談会の日。開始時間ちょうどにパソコンの画面が切り替わり、女性の姿が現れた。
「初めまして、YUIです」
YUIは優しい雰囲気の女性だった。
「佳菜枝です。今日はよろしくお願いします」
佳菜枝は内心ホッとして、自己紹介をした。

「こちらこそ、よろしくお願いします!早速ですが、無料相談会に申し込んだ理由を教えていただけますか?」
「はい。最近、教室運営のセミナーを始めたのですが、準備が上手く行ってなくて。セミナーの資料もですが、特にブログの見た目がイマイチなんです」
「なるほど。具体的に伺ってもよろしいですか?」
「情報が多すぎる気がします。パンレッスンに教室運営の情報が加わる事で、画面が見にくくなっているんじゃないか、お客様が混乱していないか心配です」
「それは心配ですよね。今、集客に使われている媒体はブログだけですか?」
「基本はブログで、SNSも去年から始めました」
「すごいですね!どんどん新しい事に挑戦されているんですね」
「あ、ありがとうございます」
佳菜枝はほめられて、くすぐったい気持ちになった。

4:佳菜枝の想い

「では次に、パンレッスンや教室運営セミナーに対する、佳菜枝さんの”想い”を教えてください」
予想外の質問に佳菜枝は驚いたが、頭をフル回転させて言葉を探した。
「えっと、パンレッスンは、パンをこねるときに感じる癒しをママたちに伝えたい、です」
YUIは話を続けるよう、佳菜枝を見て頷いた。
「教室運営は…うーん、そうですね。他の教室と横並びにならない、自分らしい教室を作って欲しい。自分らしい働き方をして欲しい、でしょうか」
「素敵です!そうすると、2つの”想い”つまりコンセプトが違ってくるわけですね」
「そう、そうなんです!」

佳菜枝はYUIの質問に答えながら、自分の頭や心が整理されていくのを感じていた。
自分で考えているだけでは答えの出ない問題も、こうして話を聞いてもらうだけで、すでに解決してしまったかのように思える。
勇気を出して無料相談会に申し込んで良かった。佳菜枝は心の底からホッとした。
「YUIさん、ありがとうございます!何だか気持ちがスッキリしました」

「それは良かったです!ところで、ブログの見え方に悩んでいるとおっしゃっていましたね」
「はい。それもあるのですが、実は…ホームページを作ろうかどうか迷っていて」
「そうなんですね!実は私も、佳菜枝さんのお話を聞いて、ホームページが合うかもと思っていました」
「えっ、そうなんですか!」
佳菜枝は内心、嬉しかった。自分にホームページはまだ早いのでは、と迷っていた気持ちがスッと消えていった。

「佳菜枝さんは今、ステップアップの時期なのかもしれません。ホームページ制作には費用も時間もかかりますが、その分、佳菜枝さんの”想い”に共感してくれる見込み客から、信頼も得やすくなりますよ」
YUIはいくつか質問をした後、佳菜枝に合ったホームページのプラン(*)を提案してくれた。
「ホームページは作って終わりではなく、作ってからがスタートです。お客様と佳菜枝さんをつなぐ窓口であり続けるためには、日々の更新やメンテナンスも必要になってきます」
「そうなんですね…そこまで考えていなかったです」
「ぜひ、目的地に合った選択をしてくださいね」
YUIのこの言葉で無料相談会は終了した。

*ホームページ制作は使用するツールや納品期間、料金によってプランが異なります。
詳しくはこちらをご覧ください。

第3幕:新しいステージへ

1 : 佳菜枝の決断

無料相談会の翌日。
パンレッスンを終え一息つこうと佳菜枝は窓の外を見た。薄い雲の向こう側から、太陽の光が見える。
佳菜枝は昨晩からずっと、YUIの言った『目的地』という言葉について考えていた。 

「目的地って、将来の夢みたいな意味だよね」
佳菜枝は確認するように呟いた。

「私の目的地は、何だろう。パンの対面レッスンを続けながら、教室運営のセミナーも継続したい。
今よりもっと多くの生徒さんに囲まれながら、彼女たちの挑戦をサポートしたい、かな」

佳菜枝は続けて自分に問いかけた。
「その目的地のために、ホームページは必要?」

YUIはホームページを作る事で『”想い(コンセプト)”に共感してくれる見込み客から、信頼も得やすくなりますよ』と言っていた。そう考えると、ホームページは佳菜枝が『目的地』にたどり着くために必要なものではないだろうか。

佳菜枝は心を決めると、YUIに連絡した。

2 : ホームページの完成とその後

その後、佳菜枝は何度もYUIとやり取りし、ホームページの内容を詰めていった。

ブログに関しては、パン教室の集客のほとんどを担っているため、今まで通り継続する事にした。
ブログにリンクをつけて、ホームページに飛べるようにする。
教室運営の情報は主にホームページに掲載する予定だ。

やり取りする間、YUIが同じ方向を見て一緒に考えてくれた事が、佳菜枝はとても嬉しかった。
今までWeb周りについて相談できる相手が身近にいなかった分、YUIの存在は心強かった。

ホームページが完成したのは、依頼から約3ヶ月後。
制作の過程で構成やデザインは随時、確認していたが、指定されたリンクをクリックするときはドキドキした。

「わぁ」

目の前に現れた画面を見て、佳菜枝は理沙と一緒に歓声を上げた。

トップページ上部にはパン教室こねこねこの文字。その下に、パンを頭にのせた猫のイラスト。
中央にはレッスン時の写真が載せられ、メニューバーはレッスン・セミナーごとに項目が分けられている。
それぞれの項目をクリックすると別ページに飛び、詳細が見やすくなっている点も良かった。

「すごい!イメージ通り。いや、それ以上!」
「本当に!教室の雰囲気も伝わりますね」

佳菜枝は気分が高揚するのを感じた。早くホームページを公開したくてウズウズする。
このホームページを見て、来てくれる人がこれから沢山いるかもしれない。そう思うと、ワクワクが止まらなかった。

ホームページを公開して数週間後。佳菜枝は鼻歌まじりにパンレッスンの準備をしていた。
ここ最近、とても気分が良い。
教室運営の準備の一部を理沙にお願いした事で、スケジュールと気持ちに余裕が生まれ、夫や子どもに当たる事もなくなったのだ。
パンレッスンも再び楽しめるようになった。
教室運営の問い合わせがホームページを通して数件あった事も、気持ちを明るくさせた。

佳菜枝はふと、窓の外を見た。
雲一つない青空が広がっている。佳菜枝は大きく息を吸い込み、これから来る未来に思いを馳せた。

思いをひとつに、想いを形に

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

全てひとりでやらなければと肩に力が入っていた
焦りや不安を感じて前に進めていない気がする
誰かに頼りたいけど、誰に頼ればいいか分からない
コンサルを受けても、なかなかその先の行動に移せない
同業の仲間だけではなく、自分の事業(教室)について相談できる人がいてほしい
新しいことに挑戦したい時や悩んだ時には壁打ちしたい

この物語の主人公、佳菜枝さんも、どこかこんな思いを抱えていたのではないかと思います。
思いをひとつに、同じ方向を見て話し合える私と出会って、佳菜枝さんの想いはより未来のお客様へと繋がる形になっていきます。
きっとこの後、佳菜枝さんは行動するごとに自信を味方につけていったのではないでしょうか。

今回、このようなストーリーを書いてくださった蒼樹唯恭さんには本当に感謝しています。
きっと私が綴るよりも、あったかく皆さんの元に届くのでは…と思ってお願いしました。

未来ストーリー™作家 蒼樹唯恭さん
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